Plurality in Japan(サイボウズラボ)
今回はこれを60分話す
質疑多めでやる
https://gyazo.com/148ee10877481a282988dfccb309388f
https://gyazo.com/c3655deb9cea2f81f5f099afec43dae5
https://gyazo.com/e216c4857a802cc621cf8ffd7b2a056e
https://gyazo.com/99f7796b1e3a33246ba3f4182c5373b6
human.iconブロードリスニングという概念はPluralityコミュニティから出てきたものですか?
最終的に安野さんはPlurality和訳コミュニティに置かれていたPlurality本の機械翻訳を見てブロードリスニングの概念を知った
https://gyazo.com/4f6c3eac9bab74a9e75cf2718983e2e5
human.iconOffensiveなものがどのくらいあったのか気になる……
nishio.icon正確な割合は把握してないが結構あったんじゃないかな、有毒さスコアがいくつかの軸で0%~100%みたいな感じで出るので閾値50%とかで切る感じ
https://gyazo.com/b350c32a3233f8400f30830545edbaf7
https://gyazo.com/75c231167e1f91fb329720f7f76febf7
https://gyazo.com/b6546273c1bc8318dd131ebb1358ae80
human.icon日本は上位下達じゃないんだ!
human.icon稟議をたらいまわしするパターンとか。
human.icon責任回避型?
human.iconポジティブな側面は、合意形成に時間をかけるともいえますね。
nishio.iconそれが"CONSENSUAL"ということ
human.icon確かに階層の強さと上位下達の否定はなんか矛盾している気がする。
human.icon納得は全てに優先するっ!!て人が多いからじゃないかなぁ。上に言われたから仕方ない、みたいな人があんまりいなかったり?
nishio.icon「上に言われただけでは納得できない」という反対のスタイルが存在するのがそもそも上位下達型でない文化の特徴、上位者が言ったんだから当然従うし、その意思決定の責任は当然上位者が全て負うよね、という文化もある
https://gyazo.com/3614da6420442bf19fccfa2a3096257a
human.icon上が責任を取ってくれるなら、受け入れられるってことなのかな?
human.icon日本は現場も上司の決定に疑問を感じなきゃいけない。確かにそうかもなあ。
関連
個人的には日本において「上位者」が「上司個人」ではなく「空気」「会社」「世間」「常識」な「個々の顔の見えない集団の擬人化」なんじゃないかなと思っている
だから「上司個人」が勝手に「集団の意志」(=上位者の意志)を決めることに反発しつつ、「上位者」(=集団)の決定に従順に従う、という行動が両立する
https://gyazo.com/37b17c71a5351161f7b0a10cf4a21557
human.icon意思決定の構造は簡単には変わらなさそうなイメージを持っているけど、情報伝達の構造はだいぶ変わりそう
nishio.iconPolisを使って匿名のまま直接攻撃なしに対立ができるようになると心理的安全性高くより良い議論ができそう human.icon日本がこのスタイルになったのは、一神教ではなくて多神教だったからなのかな。つまり自分より上位の人がたくさんいるので、どれが正しいか自分で判断しないといけなかった?
nishio.icon多神教の国は日本に限らずあるわけなんでそこに帰着するのはおかしいんじゃないかな
https://gyazo.com/67f9fc2ba38c75349606acbbc471de80
https://gyazo.com/b6b8680a656d65a9453021b32960b09b
https://gyazo.com/af4dd234fecf36188c4734428d2f2d0e
human.iconなめらか、のイメージがあんまり分かない…...
多様な視点を持つってこと?エコーチャンバーの逆というか。
https://gyazo.com/549b3e46cb7090d44a151f0ae374326e
https://gyazo.com/405e77eaf4b2faf36dd8ecf9f2a5d3a9
human.iconきっと西尾さんは最初KJ法をPluralityに関する文脈で使い始めたわけじゃないと思うんですが、それからに関連を見出していってるのがおもしろいなぁ思いました。
nishio.iconもちろん、KJ法をやり始めた頃はまだ今の意味でのPluralityって言葉はなかったですからね
Pluralityとは
https://gyazo.com/c460c9d699c6e12d138071ddbc1d136d
「違い」を乗り越え、協働するための技術
human.icon「違いを乗り越え」るのがなんと難しいことか……
その技術を使うことによって、社会をより良い方向にアップデートしていこう、という運動
https://gyazo.com/4ac3b9a1f9c315fedd31f971c39f7df2
新しく作られつつある社会は、まだ形が定まっていないし、みんな見たことがない
なので既存の言葉で説明し尽くすことはできない
新しい言葉を作り、文脈に接続していくことで、新しい意味の言葉自体を生み出さなければならない
human.icon既存の語に新しい意味を乗せた?
nishio.iconYes、辞書には載ってるけど、辞書的意味で解釈しようとしても意味がわからない
human.iconsingular plural (単数 複数)
nishio.icon "singularity ⇔ plurality"という関連性がある
human.iconところで、なぜAIがめちゃ進化しちゃうのを「単数」と呼ぶんだろう
nishio.iconそもそもその「シンギュラリティ」は「特異点」という意味しかなく$ y = 1/xは$ x=0でシンギュラリティ
Plurality日本語版がサイボウズ式ブックスからでます
Audrey+Glen+Halskの鼎談インタビューもサイボウズ式のWeb記事で公開予定
なぜサイボウズがPluralityに協力するのか?
「違い」を乗り越え、協働するための技術ってチームワークあふれる社会を創るための技術だよね
事例
2018年6月27日
human.iconサイボウズは、ブロードリスニングのツールも持ってなかったけど、がんばってきたんだなー。
nishio.icon1997年にまだ組織内のコミュニケーションの大部分が口頭会話やホワイトボードだった時代に"サイボウズOffice"がリリースされて、コミュニケーションが「消えないもの」になった、それによって情報が蓄積するようになって、ブロードリスニングの必要性が認識され、その結果情報キュレーターなどの役割が生まれてきた
human.iconサイボウズ・ダイジェストとか
nishio.iconみんなが発信することによって通知爆発が起こる、などのことを自社内の自分ごととして体験してきた
SNS上での政治的分断みたいなことは会社組織なので起こらなかったけど、サイロ化という形での分断が起きる可能性をすごく心配して対処しているよね、システム的にも運営的にも 残り時間で掘り下げ
25分では全体は解説できない
俯瞰した解説をすると抽象的になる
https://gyazo.com/48c48d4c351f9b6e246559914e2a39e6
それは検索などすれば見つかると思うので、ここではFunding the Commonsの文脈につなげて面白いトピックを紹介する
https://gyazo.com/e7c55e5d2142df92119c3122a529c1fe
食べ物が保存不可能であった場合、一人で食べられる以上のものはみんなで分け合う方が、食べきれない量を腐らせてしまうよりも合理的だった。(交換様式A)
食べ物の保存が可能になったことで、分け与える合理性がなくなった。
飢えた人は食料が欲しいので、何かを差し出して交換しなければならない。
このときに「何も資産を持たない人」が差し出すことができるのは、人生の時間だった。
こうして時間の切り売りという「他人への従属」が発生した。(交換様式B)
これが生産活動に従事しない軍隊へと発展していく。
常備軍の発生はかなり古い、メソポタミアのころにはすでに記録が残ってる
軍事力によって外的から中の「人々」を守る「国家」が生まれて行った
軍事力によって他人を排除することで、誰のものでもなかった「土地」が私有されるようになった
同じく大昔に「保存のできるトークン」が生まれた
のちに貨幣と呼ばれるようになる
https://gyazo.com/b977fd69e17176fe2b39ae395d0f4537
交換のタイミングを同期する必要がなくなり、交換が容易になった(交換様式C)
human.icon分業による効率化
「保存できる食料」よりももっとコンパクトに安定して保存できるようになった、価値の蓄積が容易になった
価値の蓄積による軍事力はこのトークンの信頼性を高め、逆にこのトークンは価値の蓄積の安定性を高める、という相乗効果が発生した
しかしトークンの交換による市場が成長するに従って、地理的に区分された国家は邪魔になってくる。
軍事力で外敵を排除することによって中の「友」を守る仕組みとしての「国家」は国境を強化しようとするが、交易は国境を弱めようとする
市場にはつながればつながるほど有益になる性質があったからだ。
商人が国家の運営に干渉していく
中世ヨーロッパのヴェネツィアなど
国家に対して開かれた交易を要求する力が強くなっていき、ついには地球規模の市場が成立するようになった。
nishio.iconペリー「開国してくださいよ〜」
ちょっとそこのコンビニに行って原材料を見れば世界中で収穫されたものが使われている
https://gyazo.com/1e0dfb89715fe6262f3a235e196ead39
ここまでが柄谷行人の交換様式論における交換様式A, B, Cのざっくりとした解説だった
ところで、このスケールで世界史を見るなら、今は「電子計算機が生まれて最初の100年」の期間
新しい種類の「もの(財)」が生まれた、それはデジタル財
無視できるコストで複製ができる
「使っても減らない財」
食べ物をを分け与えることで社会の幸福が増えていた時代と同じように、デジタル財をコピーすることで社会の幸福の総量が増える
ところが、デジタル財は食べられない
https://gyazo.com/11c2f5e7dcce3880bfb86eefd4c841c9https://gyazo.com/1e0dfb89715fe6262f3a235e196ead39
ここまでの文明の進歩の過程で、ほとんどの人が自分の食べ物を貨幣との交換で手に入れるようになってしまった
デジタル財を作って無償でわけあたえていたのでは飢えて死んでしまう
社会的には作られたデジタル財が無償で少しでも多くの人にコピーされた方が社会全体の幸福がアップする
社会がデジタル財を生み出す人に死なない程度のFundingをして、つくられたデジタル財をみんなの共有財Commonsにしたらいいじゃん→Funding the Commons
(共有財Common Goodsと公共財Public Goodsの違いが気になる人へ: Funding the CommonsはWe build a bridge between builders and researchers focused on transforming the funding mechanisms for public goods.って言ってるのでここでは区別してない)
ではこの辺りのことに関してPluralityはどう考えているか
https://gyazo.com/6372900530b7163c3ae1bcacc73be72f
重要な概念として「個人でも全体でもなく、交差するいくつものグループ」という世界観
ここから考えるとデジタル財に関して「個人の私有」と「全世界共有」のどちらの配布形態を選ぼうと考えてるのは誤った二者択一の感があるね
https://gyazo.com/ab7d13bb2cc9e46965e9277f47428271
https://gyazo.com/29b1c6bd44a604f6b78c354153d5d075
この問題が今後解決されていく必要のあるものだとの認識が高まっている感じ
そしてweb3技術がデジタル財に新しい所有や提供の選択肢を作り出すことが解決の糸口になるかもしれないな、という状況
他のセッションでweb3関連のものが割とあるのはそういう理由
この図についてもう少し話す
https://gyazo.com/6372900530b7163c3ae1bcacc73be72f
これに関連して21世紀のイデオロギーという整理をして、3つのイデオロギーの1つ「デジタル民主主義」をPlurality本では強く推している https://gyazo.com/2517ff5e7972e528df4117e19cd6e3aa
統合テクノクラシー(synthetic technocracy)はAIの進歩で人間を超える存在ができるからみんなそれに任せたらいいよね、という思想 「PluralityはSingularity(シンギュラリティ)の対義語」と説明されるときにシンギュラリティって言葉で暗示されてるのはこのイデオロギー
これがindivisual / intersecting group / wholeの図のwholeに相当する
https://gyazo.com/6372900530b7163c3ae1bcacc73be72f
これの対義語と考えてPluralityをindividualを目指すものだと考えるとうまく理解できない
特にweb3の人が中央集権と非中央集権の対立構図と勘違いしてしまう
暗号技術などを使って個人の自由を強化し、それを制限する政府の力を弱体化しようとする
いわば市場のメカニズムに任せたらいいよねという思想
これがindivisual / intersecting group / wholeの図のindivisualに相当する
技術によって社会組織を回避し、分解し、信頼をアルゴリズムで置き換えるビジョン by Glen
たとえば昨日のMeetupでは「将来トラストレスな政府が作れると思うか?」という問いに対してAudreyは I don't like the word trustless. I like the word trust building.と回答していた
トラストレスを追い求める方向は信頼によって構築された既存の社会構造を分解し破壊することであり、それは好ましくないことだと思っているようだ
この3つのイデオロギーを見て自分はどの要素が強いのかを考えてみると良い
しばしば賛否が分かれる、また分かれなくても具体的な方針に差が出る
たとえば"少子高齢化により高齢者福祉の維持が困難になっている、どうするべきか?"
ST: 介護ロボットやAIを導入し、人手不足を補い、介護の質を向上させる。
CL: 規制を緩和し、企業間の競争を活発化させることで、革新的な高齢者向けサービスや製品が生まれるようにする。
DD: 地域社会のネットワークを強化し、ボランティアや地域活動を通じて高齢者を支援するシステムを作る。
それぞれ一理ある
西尾個人は「長期的には統合テクノクラシーだが、その手前にまずデジタル民主主義が必要」という考え
AIが人間より賢くなった時点でAIによる統治の方が人間による統治よりも優れたものになる。
ただし「人々を幸福に統治する」と言った場合の「幸福」の定義を人々の一部が行うと他の人々に対する幸福の形の押し付けになってよくないから、全員の多様な幸福の形を収集する方法が必要になる。
それはデジタル民主主義なわけなので「統合テクノクラシーの手前にデジタル民主主義が必要」という結論になる。
後で賢いAIによる独裁制を受け入れるかどうかと無関係に、現時点ではデジタル民主主義を推し進めるのが良い。
受け入れるかどうかも、デジタル民主主義で決めたらいい。
質疑で使う図
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